最新の研究によると、人工知能(AI)システムの利用拡大が、2025年に世界的な水とエネルギー消費を急増させた。AIによる水使用量は世界のボトル飲料水産業とほぼ同水準に達し、二酸化炭素排出量はニューヨーク市の年間排出量に匹敵する。
アムステルダム自由大学の研究者で「Digiconomist」創設者のアレックス・デ・フリース=ガオ氏が発表した論文(科学誌 Patterns 掲載)によると、AIシステムは2025年に3,260万~7,970万トンのCO₂を排出したと推定される。水使用量は3,125億~7,646億リットルに達し、世界の年間ボトル水消費とほぼ同規模だという。
エネルギー需要の急増
AIは現在、世界のデータセンター電力消費の最大2割を占め、年内には約半分に達する見通しだ。国際エネルギー機関(IEA)は、データセンターの電力需要が2024年の4,150TWhから2030年までに9,450TWhへ倍増すると予測しており、その主な要因はAIの急成長にある。
主要テクノロジー企業も、環境対策を掲げながら排出量が増加している。メタ(旧フェイスブック)は2019年以降、データセンターの直接排出量が223%増加。グーグルは2024年にデータセンターの排出量を12%削減した一方、電力使用量は27%増加した。
「環境への負担は非常に大きい。現状では社会がコストを負担し、テクノロジー企業はそうではない」とデ・フリース=ガオ氏は指摘する。
研究では、AIによるエネルギーや水の具体的な使用量を公表する企業がほとんどないことも問題視している。グーグルが今年、Geminiの環境影響に言及した際も、電力生成に伴う水使用は含まれていなかった。
デ・フリース=ガオ氏は、企業に対しAI関連とその他用途を区別したデータセンターごとの詳細なエネルギー消費量、温室効果ガス排出量、水使用量の開示を求めている。
「AIが持続可能な未来に貢献するには、まずその環境コストを正確に把握する必要がある」と同氏は述べている。

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