モンゴル訪問のプーチン大統領、ICC加盟国での逮捕を免れる

Official welcoming ceremony held by President of Mongolia Ukhnaagiin Khurelsukh for President of Russia Vladimir Putin. Photo by Kristina Kormilitsyna (”Rossiya Segodnya“) 国際

2024年9月3日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がモンゴルを公式訪問し、歓迎式典に出席しました。国際刑事裁判所(ICC)の加盟国であるモンゴルは、プーチン大統領に対する戦争犯罪の疑いで逮捕状が出されているにもかかわらず、彼を逮捕しない決定を下しました。この訪問は、国際社会におけるモンゴルの立場を揺るがす可能性があると見られています。

プーチン大統領は、モンゴルの首都ウランバートルでフレルスフ大統領と並んで歓迎式典に出席しました。この訪問は、ロシアと中国を結ぶ新たなガスパイプラインに関する協議の一環として行われたもので、両国間の協力を強化する目的があります。また、1939年のノモンハン事件の85周年記念式典にも出席し、日本をけん制する狙いもあるとされています。

ICC加盟国としてのモンゴルの立場

ICCは2023年3月に、ウクライナ侵攻に関連する戦争犯罪の疑いでプーチン大統領に逮捕状を発行しました。ICCの加盟国であるモンゴルには、プーチン氏を逮捕する義務がありますが、今回の訪問では逮捕が行われず、事前に不逮捕で合意したとみられています。この決定に対して、ウクライナの外務省は「ICCと刑法制度に対する大きな打撃だ」と批判し、モンゴルが戦争犯罪の責任を共有していると非難しました。

国際社会からの反応

モンゴルが逮捕義務を履行しなかったことに対し、国際社会からの批判が高まることは避けられません。モンゴルは、中露の間でバランスを取りながら外交を続けており、今回の決定が他の国々との関係に影響を及ぼす可能性があります。特に、ウクライナを支援する欧米諸国からの反発が予想されます。

モンゴルは、ロシアと中国という二大国に挟まれた地理的な位置にあり、両国との関係を重視しています。ロシアはモンゴルにとって主要なエネルギー供給国であり、モンゴルはロシアとの友好関係を維持しつつ、対中依存の深化に対する懸念を抱えています。このため、モンゴルは全方位外交を目指し、他国との関係強化を図ってきましたが、今回の決定がその努力に水を差す可能性があります。

プーチン大統領のモンゴル訪問は、国際政治における複雑な力学を浮き彫りにするものであり、今後の展開が注目されます。

Photo by Kristina Kormilitsyna (”Rossiya Segodnya“); Source: Kremlin.ru

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