朝のルーチンに欠かせないインスタントコーヒーの一杯が、実は50歳以上の視力低下の大きなリスクを招く可能性がある。新たな遺伝子研究が、インスタントコーヒーの定期摂取がドライ型加齢黄斑変性(AMD)のリスクを劇的に高める証拠を明らかにした。
この研究は本日、『Food Science & Nutrition』誌に掲載され、18万人以上のコーヒー摂取者と約30万人のAMD患者の遺伝子データを分析した。メンデルランダム化法――DNA変異を自然の「コントロール」としてランダム化試験を模倣する手法――を用い、インスタントコーヒー摂取の標準偏差増加ごとに、ドライ型AMDのオッズ比が6.92倍に跳ね上がることが判明した。つまり、時折の飲み方から日常習慣へ移行すると、リスクがほぼ7倍になる計算だ。
喫煙や食事などの生活要因に惑わされやすい観察研究とは異なり、この遺伝子アプローチは雑音を排除する。湖北省医学大学の主任研究者、劉思偉氏は論文で「インスタントコーヒーはAMDのリスクを高める可能性があり、摂取を減らすことでドライ型AMDを予防できる」と述べている。研究チームは、インスタントコーヒーの製造工程――濃縮抽出液を高温噴霧乾燥させる――がアクリルアミドや糖化末端産物(AGEs)などの化合物生成を促す点を指摘。これらが網膜細胞の炎症と酸化ストレスを引き起こし、眼の裏側の組織損傷を加速させる。
なぜインスタントだけ?
研究は総コーヒー摂取、無カフェイン、挽き豆、インスタントの4種類を比較。ドライ型AMDとの明確な遺伝的関連はインスタントのみで、湿性AMD(異常血管成長を伴うタイプ)との関連はなかった。製造工程の違いから、挽き豆や無カフェインはクリーンな結果を示した。
「これまでのコホート研究ではコーヒーが目を守ると示唆されていたが、インスタントに限れば逆の結果だ」と著者らは指摘。製造過程でマillard反応の副生成物が生じやすく、糖やクリーマーの添加も多いため、眼タンパク質に結合してNF-κBなどの経路を活性化し、細胞死や血管漏れを促すという。
共有DNAホットスポットを探索する共定位分析では、インスタントコーヒーとAMDの単一遺伝子変異は見つからなかった。これは、リスクが単一の遺伝子ではなく、多様な遺伝的影響と環境要因の複合によることを示唆する。
高リスク眼に現実的な警告
AMDは世界で2億人の視力を脅かし、2040年までに2億9千万人に達すると予測される。ドライ型は湿性と異なり、徐々に中心視野をぼやけさせ、読書や運転を困難にする。この欧州データセット(UK BiobankとFinnGen由来)は、インスタントコーヒーを修正可能な引き金として特定、特に遺伝的に脆弱な人々に。
臨床医は新たな指針を得た:論文は「遺伝プロファイルに基づき、インスタントを控えるよう患者に勧告せよ」と促し、精密予防を提唱。高リスク群――50歳以上で家族歴のある人――は挽き豆に切り替え、添加物を避けるべきだ。
欧州人に限定された発見のため、著者らは多民族検証を呼びかける。サンプル重複は1.2%未満で、複数感度テストでバイアスを排除。ただし、他の形態のコーヒーは肝臓や心臓の利点が残る。
結論? 手軽な一杯が視力を蝕むかも。次の一杯前に考えて――明日からは自分で挽いてみては。
Comments