イーサリアムの引き出し待ち時間が8〜10日に延長、退出キューは23億ドルに膨張しステーカーが利益確定

イーサリアムの引き出し待ち時間が8〜10日に延長、退出キューは23億ドルに膨張しステーカーが利益確定 経済

イーサリアムは1年以上ぶりの最長の引き出し待ち時間に直面しており、ネットワークの価格上昇を受けてステーカー(バリデーター)が利益確定のために大量に資産を引き出そうとしている影響で、退出キューが記録的な23億ドルに膨れ上がっています。2025年7月24日時点で64万4000ETH以上(約23億ドル相当)が引き出し待ちの状態にあり、退出の遅延は最大で11日に達しています。これは2024年初頭以来の長さです。

価格上昇を受けたアンステーキング活動の急増

退出キューの急増は、イーサリアムが4月以来160%の価格上昇を記録し、ETH価格が7月初旬に約3,850ドルに達したことに起因しています。ステーキングサービス提供者によると、この動きは利益を確保しようとする個人投資家および機関投資家のアンステーキング(資産引き出し)が主な原因です。

この待機行列は、イーサリアムのプルーフ・オブ・ステーク(PoS)設計が意図的にバリデーター(ブロックチェーンの安全を担う参加者)がネットワークを出入りできる速度を制限していることから更に大きくなっています。この「チャーンリミット」は、市場の変動期にネットワークの安定性を維持するための仕組みです。現在は1エポック(約6.4分)あたり8〜10のバリデーターしか退出できず、大量の引き出しが数日間の遅延を生み出しています。

大量の引き出しは一見すると市場の混乱を示すように見えますが、暗号資産ステーキング企業Everstakeや業界アナリストはこれをパニック売りとは異なる動きとして捉えています。多くのバリデーターは単に資産を再配置したり、別のカストディアンやステーキングプールに移すためのローテーションを行っており、ネットワークから完全に撤退するわけではありません。

ネットワークは均衡を維持

大量の資産流出にもかかわらず、約12億ドル(39万ETH)がステーキング待ちとしてネットワークに参加を待っています。新規バリデーターは6日間の待機を余儀なくされており、流入と流出の差し引きは約25.5万ETHとなっており、ETHの全体供給は比較的安定したままです。

現時点では、イーサリアムのネットワークメカニズムと継続的なステーキング需要により、待ち時間の急増と退出キューの膨張にもかかわらず、ブロックチェーンは稼働安定性と堅調なバリデーター参加を維持しています。

【ポイントまとめ】

  • 644,000ETH(約23億ドル)が引き出し待ちで最大11日の遅延
  • 4月以来の160%の価格上昇が利益確定のアンステーキングを促進
  • チャーンリミットで大量退出を制限してネットワーク安全を維持
  • 約12億ドル相当のETHがステーキング待ちでバランスを保つ
  • 退出の多くは資産の再配置や運用ローテーションによるもので、イーサリアムへの信頼喪失ではない

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