日本経済、30年の停滞から脱却か?新たな均衡点へ

日本経済、30年の停滞から脱却か?新たな均衡点へ 経済

IMF、日本の経済見通しを発表。賃金上昇とインフレ目標達成に期待、課題は高齢化と高水準の債務。

国際通貨基金(IMF)は、日本経済に関する最新のスタッフ結論声明を発表しました。声明では、30年近くに及ぶデフレから脱却し、新たな均衡点に向かう可能性が示唆されています。

2024年前半は一時的な供給の混乱により経済が縮小しましたが、後半には国内需要、特に個人消費が強化され、勢いを取り戻しました。生鮮食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は、依然として日本銀行の2%のインフレ目標を上回っています。

2025年には、賃金上昇が家計の可処分所得を押し上げ、個人消費がさらに強化されると予想されています。企業の高い収益と緩和的な金融状況が、民間投資を支えるでしょう。需給ギャップは解消され、成長率は中期的に潜在成長率の0.5%に収束すると予想されています。

しかし、日本は高齢化と高水準の公的債務という課題に直面しています。政策の優先事項は、インフレ期待を再固定し、財政バッファーを再構築し、潜在成長をサポートするために労働市場の改革を進めることです。

主な経済指標(2021-2026年)

指標2021202220232024 (予測)2025 (予測)2026 (予測)
実質GDP成長率(%)2.70.91.5-0.21.10.8
ヘッドラインCPI(%)-0.22.53.22.82.42.0
政府債務残高(対GDP比、%)253.7248.3240.0237.0232.7230.0
(出典: IMFスタッフ推定・予測)

リスクとして、世界経済の減速、地経学的分断の深刻化、貿易制限の強化、食料とエネルギー価格の変動が挙げられています。国内では、実質賃金が上昇しない場合、消費が低迷する可能性があります。また、高水準の公的債務と資金調達ニーズの中で、財政の持続可能性に対する信頼が低下すると、金融状況が引き締まる可能性があります。

インフレに関しては、日本が長期にわたるデフレを経験してきたため、インフレ期待が目標を下回る可能性があります。一方で、食料とエネルギー価格の上昇や、春の賃金交渉で予想を上回る賃上げが実現した場合、インフレが加速する可能性があります。

IMFは、当局に対し、財政の持続可能性を確保し、ショックに対応するために必要な財政余地を拡大するための明確な計画を策定することを推奨しています。具体的には、公共投資の質を高め、エネルギー補助金などの対象を絞り込むことで、公共支出の構成をより成長に優しいものにすべきであると指摘しています。また、高所得者に対する金融所得課税の強化、固定資産税の課税ベースの拡大、所得税控除の合理化、消費税率の統一と最終的な引き上げなどの選択肢を検討することを提案しています。

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