日本の「地方銀行」はなぜ倒産しないのか?1300行の銀行を支える政商共生の術

日本の「地方銀行」はなぜ倒産しないのか?1300行の銀行を支える政商共生の術 経済

秋田県の田舎町。人口3万人にも満たないこの地に、2つの地方銀行の支店が向かい合って営業している。一方は秋田銀行、もう一方は北都銀行。両行の従業員数は合わせて500人にも満たないが、総預金1兆円に満たない市場を守っている。

「なぜ合併しないのか?」と地元の人に尋ねると、彼らは笑いながら言う。「合併したら、町長の息子を雇うのは誰になるんだ?」 これは冗談ではない。これが日本の地方銀行1300行が今も生き残っている真実の理由だ。

1. まず数字から:本当に1300行あるのか?

「日本には1300行の地方銀行がある」とよく言われるが、実は正確ではない。

2025年最新データ(金融庁・全国銀行協会):
第一地方銀行(地銀協加盟):約60行
第二地方銀行:約34行
信用金庫:254庫
信用組合:143組合
JA農協(金融業務を行うもの):約550組合
合計約1041行。労働金庫や漁協などの小規模協同組織も含めると、確かに1300行を超える。

しかし重要なのは数ではなく、「1990年の200行以上から、35年間で実質的に1行も倒産していない」という事実だ。
米国では同期間に3000行以上、欧州でも数百行が倒産した。日本では?ゼロ。なぜか?

2. 護送船団方式の亡霊が今も彷徨う

戦後日本の金融政策は「護送船団方式」と呼ばれた——最も遅い船が船団全体の速度を決める。
大蔵省(現在の財務省)と日銀が連携し、いかなる銀行も沈没させなかった。不良債権?強制合併。赤字?公的資金注入。倒産?絶対に許さない。1998年に金融庁が設立され、表向きは終焉を迎えた。しかし実際は?

「金融庁は相変わらずだ。弱小銀行に少しでも異変があれば、すぐに大手銀行を呼び寄せて救済する」

2025年の金融庁内部文書にもこう記されている:「地域金融機関の経営基盤強化」——平たく言えば「倒産を許さない」ということだ。

3. 合併・再編・子会社化——三つの倒産防止術

2025年だけでも:
1月:愛知銀行+中京銀行→あいち銀行
1月:青森銀行+みちのく銀行→青森みちのく銀行
2026年予定:八十二銀行+長野銀行、福井銀行+福邦銀行
1990年 地方銀行132行+第二地方銀行72行=204行
2025年→地方銀行97行+第二地方銀行34行=131行
35年で73行減少。ただし注意:これは倒産ではなく「合併」である。

典型的な事例:
横浜銀行(コンコルディアFG)→神奈川銀行を子会社化(合併せずブランド残す)
フィデアHD→荘内銀行+北都銀行(失敗続きだったが結局統合)

金融庁長官伊藤豊は2025年8月NHKインタビューでこう述べた:「地域銀行の再編を後押しする」つまり「弱い銀行は強引にでも合併させろ」ということ。

4. 政商共生の真実の姿:献金、天下り、後継者

地方銀行頭取の出身:
元大蔵省官僚:20%以上
地元自民党議員の親族:珍しくない
自民党国民政治協会への献金(2023-2024年):地方銀行・信金から合計17億円以上を党支部に献金。

「選挙の時は、銀行員が総出で応援に来る」——地方議員なら誰もが知っている話。農協金庫はさらに誇張。JAは自民党最大の票田。金融業務を行っているJAは550組合。「農協票がなければ自民党は地方で勝てない」——これが現実。

3. 合併、再編、子会社化

2025年だけで:

  • 1月:愛知銀行+中京銀行→あいち銀行
  • 1月:青森銀行+みちのく銀行→青森みちのく銀行
  • 2026年予定:八十二銀行+長野銀行、福井銀行+福邦銀行

1990年地銀132行+第二地銀72行=204行
2025年→地銀97行+第二地銀34行=131行
35年で73行減少。ただし、これは破産ではなく、「合併」であることに注意してください。

典型的なケース:

  • 横浜銀行(コンコルディアFG)→神奈川銀行を子会社化(合併せずブランド残す)
  • フィデアHD→荘内銀行+北都銀行(失敗続きだったけど結局統合)

金融廳長官伊藤豊在2025年8月NHKインタビューでこう言った:
「地域銀行の再編を後押しする」
つまり「弱い銀行は強引にでも合併させろ」ってこと。

4. 政商共生の本当の姿:獻金、天下り、後継者

地方銀行頭取の出身:

  • 元大蔵省官僚:20%以上
  • 地元自民党議員親族:珍しくない

自民党国民政治協会への獻金(2023-2024年):地方銀行・信金から合計17億円以上党支部獻金。
「選挙の時、銀行員が総出で応援に来る」——地方議員なら誰もが知ってる話。

農協金庫はさらに極端だ。 JAは自民党最大の票田である。金融業務を行っているJAは550組合。 「農協票がなければ自民党は地方で勝てない」——これが現実だ。

5. 儲からないのに、なぜ倒れないのか?

2025年地銀平均:

  • 預金残高:減少傾向
  • 貸出金利:1.03%(低すぎ)
  • 経費率:55-60%(高すぎ)
  • 内部留保:過去最高600兆円(でも投資しない)

儲からない理由:

  • 人口減少で貸出需要ゼロ
  • 日銀マイナス金利で利ザヤ稼げない
  • DX投資→中小銀行じゃ無理

でも倒れない理由:

  1. 金融庁が「系統リスク」を恐れて救済
  2. 大銀行が「地域面子」で引き受ける
  3. 地元政界が「雇用守れ」と圧力

唯一の例外:スルガ銀行(シェアハウス不正)2018年大炎上、株価暴落、創業家追放。
でも倒産?しなかった。靜岡銀行が影で支え、金融庁が業務改善命令で生かしたまま。

6. 結論:1300家は「ゾンビ」じゃない、「地域の公共財」

金融庁関係者(匿名)の本音:
「地方銀行が倒れたら、地方の中小企業融資が止まる。失業爆発、過疎加速。自殺者増える。だから絶対に倒さない。」

2025年の今、日本に存在する約1300の地方銀行は、人口減少で貸出需要が細り、低金利で利ざやも稼げず、デジタル化にも遅れがちで明らかに儲からず、ビジネスモデル自体が時代遅れだ。それでも、政官財の鉄壁の守りによって、35年間ただの一度も本当の意味で倒れることはない。

なぜなら:
政(自民党)+官(金融庁)+商(地元財界)の鉄のトライアングルが、35年間守り続けてきたから。

この共生術がいつまで続くか?人口減少、AI融資、金利上昇—— 2026年あたり、初めて「本当の倒産」が出るかもしれない。でも今はまだ:「地方銀行は日本で一番安全なゾンビ企業」 これが2025年の真実だ。

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